—技と心をつなぐ場所—

日本の金属工芸の技は、今、危機にあります。後継者不足で失われつつある大切な技。特に金属工芸は難しい技術が必要で、若い担い手を見つけることがとても難しくなっています。
でも、この厳しい現実の中で私たちが信じていることがあります。それは「ただ作り続けること」の大切さです。
どんなに時代が変わっても、手作りの温もりと一点ものの特別さは色あせません。私たちの小さな工房から、長く愛される作品を生み出していきたいと思っています。
金工房が主に扱う銀は、美しさだけでなく、価値も高まり続けています。そして何より、職人の技が生み出す純銀の輝きと強さ—これが私たちの誇りです。
一つひとつの作品に込めた思いが、手に取る方の暮らしに寄り添い、時を超えて受け継がれていく。そんな温かな物語を紡ぎ続けています。
自己紹介

小さい頃、父が描く中国の絵の世界に魅了されました。色とかたちが織りなす美しさが、私の原点です。
専門学校で絵や彫刻を学んでいた私ですが、大学で金属工芸と出会い、心を奪われました。冷たくも温かい、硬くもしなやかな金属の不思議な魅力に引き込まれたのです。
今は何でも機械で作られる時代。だからこそ、手で作るものには特別な価値があると感じています。金づちを握り、素材と向き合う時間は、私にとってかけがえのないものです。
金属工芸の素敵なところは、最後まで自分の思いを形にできること。金づちを打ち込むたび、素材は応え、少しずつ私の想像した姿に近づいていきます。
大学時代の作品づくりや受賞、そして今も続く銀器会社からの依頼。これらすべてが、私と金属との対話から生まれたものです。
「使い捨て」から「一生もの」へ。SDGsの考え方も広がる今、伝統の技を守りながら新しい価値を生み出していきたいと思っています。